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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

賀正2019

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

いよいよ新時代の幕開けを迎える年となりました。
本年が皆様にとりまして良い一年となりますことをお祈り申し上げます。

2019年元日 千露
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2018年回顧

至上の印象派展 ビュールレコレクション (国立新美術館)
スイスのコレクター、ビュールレによる印象派を中心としたコレクションの数々の展示。
日本国内でビュールレコレクションがまとまった形で展示されるのは最後となるとのことで、
この機会にじっくりと鑑賞した。
ルノワール《イレーヌ・カーン・ダンベール嬢(可愛いイレーヌ)》は看板作品となっているだけあって、
瑞々しい美しさにあふれていた。

寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽 (サントリー美術館)
江戸時代初期、寛永年間につくられた「雅」な文化を紹介する展示。
「きれい、極まる。」のキャッチコピー通り、「綺麗な」作品が数多く展示されていた。
野々村仁清 《白釉円孔透鉢》のまるで現代アートのようなモダンな造形に驚かされたほか、
実際の着物を押し花のように屏風に貼りつけた《小袖屏風》が最も印象に残った。

プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光 (国立西洋美術館)
フェリペ4世時代を中心とした宮廷コレクションの数々を紹介。
ベラスケス作品が7点出展されていたが、やはり《王太子バルダサール・カルロス騎馬像》に圧倒された。

アラビアの道 サウジアラビア王国の至宝 (東京国立博物館 表敬館)
古代から20世紀に至るサウジアラビア王国の文化財を展示。
サウジアラビアといえばイスラムの聖地のイメージが強く、それ以前の歴史についてはほとんど知らなかったのだが、
イスラム以前にも豊かな文化が花開いていたことを知ることができた。

仁和寺と御室派のみほとけ ―天平と真言密教の名宝― (東京国立博物館 平成館)
仁和寺と仁和寺を総本山とする全国の御室派の寺院の名宝を集めた展覧会。
国宝・重要文化財も数多く展示されていた。
仁和寺の旧本尊《阿弥陀三尊像》(国宝)は平安時代初期に制作され、和様の先駆けとなった像とされている。
丸顔で穏やかな表情が個人的に好きな仏像である。
葛井寺《千手観音菩薩坐像》(国宝)は天平時代につくられた1001本の手を持つ真の千手観音像で、
1200年以上も完璧な造形のまま残っていることに驚かされた。
また仁和寺観音堂を再現した展示は圧巻だった。

ルドン -秘密の花園 (三菱一号館美術館)
「植物」に焦点を当ててルドンの画業を紹介する展覧会。
ドムシー男爵の城館の食堂装飾画16点の展示は
19世紀の様式で作られた美術館の展示室ともマッチして空間自体を楽しむことができた。
初期に描かれたモノクロの怪奇な花から晩年の豊かな色彩で描かれた幻想的な花まで、
ルドンの描く植物世界を満喫できた。

没後40年 熊谷守一 生きるよろこび (愛媛県美術館)
身近な対象を独自の画風で描いた画家の回顧展。
特に猫を描いた作品はシンプルな線と色彩ながら、猫のしなやかさ柔らかさ量感を的確に表現しており、
見ていて幸せな気持ちになれた。

描かれた「わらい」と「こわい」展 -春画・妖怪画の世界― (細見美術館)
国際日本文化研究センター(日文研)所蔵の春画・妖怪画コレクションの初めての展観。
一見恐ろしい妖怪画の笑える要素が含まれていたり、
思わず笑みがこぼれるような春画など、見ていて楽しい展覧会だった。

没後50年 藤田嗣治展 (京都国立近代美術館)
フランスを中心に活躍し、後年レオナール・フジタとしてフランスに帰化した藤田嗣治の回顧展。
初期から晩年にいたる藤田の軌跡を存分に見ることができた。
個人的に好きなのは美女や画家の横にさりげなく描かれた猫だ。
猫を見るのが楽しみだったといっても過言ではない。
特に《争闘(猫)》は一度実物を見てみたいと思っていた絵画作品の一つで、
猫の伸びやかさ、しなやかさ、瞬発力が的確に描かれていて、とても素晴らしかった。

京のかたな 匠のわざと雅のこころ (京都国立博物館)
京都国立博物館で初となる刀剣の特別展。
タイトル通り山城(京都を中心とした地域)鍛冶1000年の歴史をたどる内容で、
山城鍛冶の作品を中心に国宝・重要文化財も多数展示された。
これまで刀剣については鑑賞の仕方がよくわからなかったのだが、
歴史的背景や、刀剣以外の関連展示なども合わせて見ることによって、
理解できることが増えていくのが面白いと思った。

大名家と婚礼道具 ―資料から伝わる花嫁への想い (宇和島市立伊達博物館)
宇和島伊達家歴代の藩主夫人が輿入れの際に持参した調度や、
伊達家の姫君が他家へ嫁ぐ際に持参した調度などを展示。
丁寧にあつらえられた調度品の数々に大名家の花嫁への想いを感じることができた。

2019年も行きたい展覧会が色々とある。
出来れば一つでも多く行きたいものだ。

迎春2018

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謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は個人的には特に変化のなかった一年ですが、
様々なジャンルの展覧会を見に行くことができ、
その点では視野が広がったのではないかと思います。

2018年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

1月1日 千露

展覧会回顧2017

2017年もあと少しになりましたが、今年もいろいろな展覧会を見に行きました。

百段雛まつり 九州 ひな紀行Ⅱ 目黒雅叙園「百段階段」
九州各地の雛人形と「百段階段」の絢爛豪華な空間のコラボレーションが見事な展示でした。
百段階段は一度見てみたい場所だったのですが、想像以上の素晴らしさでした。

マリー・アントワネット展 森アーツセンターギャラリー
マリー・アントワネットの生涯を肖像画などの絵画作品をはじめ、愛用の工芸品、
さらには居室などの空間を再現して紹介する展示でした。
展示品一つ一つを鑑賞するというよりも、全体を見て王妃のすべてを体感するという雰囲気の展覧会だったと思います。

春日大社 千年の至宝 東京国立博物館
現地へ行ってもこれだけ一度には見られないであろう春日大社の神宝の数々、
また現地でも拝観できない春日大社の本殿の一部を再現し、実際の壁画の展示を行うなど、
文字通り春日大社千年の歴史を感じる内容でした。
個人的に好きな展示品は《金地螺鈿毛抜形太刀》です。
雀を狙う猫の姿が生き生きと表現された螺鈿細工に見入ってしまいました。
また《赤糸威大鎧(梅鶯飾)》は繊細な梅に鶯、蝶の金物細工に惹きつけられました。
鎧をこれほどじっくり見たのは初めて位に丹念に鑑賞しました。

ティツィアーノとヴェネツィア派展 東京都美術館
ティツィアーノをはじめとしてティントレット、ヴェロネーゼなど
ヴェネツィア派を代表する画家たちの作品の量感や色彩の豊かさに感銘を受けました。

招き猫亭コレクション 猫まみれ展 尾道市立美術館
「招き猫亭」と称する個人コレクターによる古今の芸術作品になった猫たちの展覧会。
一言で言うなら「見ているだけで幸せな気持ちになれる」展覧会でした。
また尾道市立美術館のTwitterアカウントがとても楽しかったです。(黒猫と警備員の攻防戦が面白い)

細見美術館名品展 愛媛県美術館
「若冲、琳派、かざりと雅」と題し、
京都・細見美術館を代表するコレクションである琳派と若冲作品を中心とした展覧会。
細見美術館で一度には見られないであろうラインナップを松山で見られたのは貴重な機会だったと思います。
同時期に細見美術館では愛媛県美術館のコレクションによる杉浦非水の展覧会が開催されており、
興味深い取り組みだと思いました。

ウェールズ国立美術館所蔵 ターナーからモネへ 愛媛県美術館
19世紀から20世紀初頭にかけてのイギリスおよびフランス絵画の展覧会。
展覧会の目玉はヴェネツィアの黄昏の情景を虹色で描いた、モネ《サン・ジョルジョ・マッジョーレ 黄昏》でしたが、
私はロセッティ《麗しのロザムンド》を見るのが目的で行きました。
色彩も質感も写真で見るよりもずっと美しく、髪など櫛がするすると通りそうなほどでした。

伊達×刀剣 ―武家の宝物と五箇伝の名刀― 宇和島市立伊達博物館
宇和島伊達家伝来の刀剣、甲冑、馬具のほか、伝来の様々な刀剣の数々の展示でした。
私が記憶している中では刀剣に特化した展示は伊達博物館では初めてであったと思います。
八幡神社(宇和島市)に奉納された三尺八寸五分の太刀の大きさに圧倒されました。
もう少し刀剣の鑑賞の仕方を学んでから見ればもっと楽しめるだろうと思いました。

末法/APOCALYPSE -失われた無石庵コレクションを求めて 細見美術館
「末法」をテーマに、奈良時代から南北朝時代にかけての仏教美術を展示。
「美」とは何かを問いかけているような内容で、
同時期に京都で開催されていた国宝展のある意味アンチテーゼともいえる展覧会でした。

特別展覧会 国宝 京都国立博物館
京都国立博物館開館120周年記念の展覧会で展示作品すべてが国宝という展覧会。
私が行ったのはⅢ期でこのときの一番の目玉は《金印》で、
写真で見るとごつごつした印象でしたが、実際はとてもつややかだったのが意外でした。
展示品の中で一番好きだと思ったのが《扇面法華経冊子》で
公達と姫君や子供たちの姿が愛らしくて素敵でした。
展示品のパワーに圧倒されて見るのに体力が必要な展覧会でした。

レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展 愛媛県美術館
フィレンツェ、シニョリーア宮殿(現・ヴェッキオ宮殿)に
かつてレオナルドが描いた壁画《アンギアーリの戦い》に迫る展覧会。
著名画家の作品はほとんどありませんでしたが、
《タヴォラ・ドーリア》と呼ばれる板絵を中心に様々な観点から
今では幻となった壁画にアプローチする意欲的な内容でした。

謹賀新年2017

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は新年の挨拶と一年の総まとめ以外に全くブログ更新をしませんでしたが、
今年はもう少しブログに手を付けることができればいいと思っています。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


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2017年1月1日 千露