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美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

カテゴリー "紀行" の記事

京都古寺巡り

11月5日・6日に京都へ行ってきました。

主な目的は展覧会だったのですが、寺院巡りもしました。
ちょうど非公開文化財の特別公開と重なっていたため、
それらを中心にこれまで行ったことのない所を中心に回りました。

信行寺
東山仁王門バス停のすぐそばにある寺ですが、
これまで全く一般公開されたことがなく、また今後一般公開されないかもしれないとのことで、
この機会に見てみたいと思いました。

寺自体は小ぢんまりとした雰囲気の良いお寺です。
伊藤若冲による天井絵「花卉図」は色あせ一部傷みはあるものの、
菊や牡丹、梅、桜といった伝統的な日本絵画で定番の花のほか、
向日葵やサボテン、ハイビスカスといった外来の花まで様々な花が美しく描かれていました。
裏側から見た牡丹や曲線を描く茎を持った杜若など、
「奇想の画家」らしい個性的な構図で描かれたものが印象的でした。


大統院
建仁寺の塔頭寺院の一つで数々の寺宝を所有していますが、
特に有名なのが円山応挙の「幽霊図」です。
応挙といえば足のない幽霊を最初に描いたことで知られていますが、
こちらの幽霊図も足がないことを不自然に感じさせず、すううっと佇む姿で描かれています。
たおやかな美女のイメージが強い応挙の幽霊には珍しく、容貌魁偉で力強ささえ感じさせる幽霊です。


妙法院
東山七条にほど近い妙法院は青蓮院・三千院と並ぶ天台宗三門跡に数えられます。
国宝に指定されている庫裏から入場するのですが、
最初に目に入る大人数分の調理をできる大きな土間と吹き抜けになった高い天井が豪快で圧倒的です。
大書院・宝物蔵と巡り、最後に庭へ出て本堂(普賢堂)を参拝します。
こちらは門跡寺院ということで寺の中心に宸殿が置かれ、本堂は庭の隅の方に位置しているのが特徴です。
普賢菩薩を本尊とする寺院は京都でも数少ないとのことです。
平安時代末期に作られた普賢菩薩像は繊細優美で、
大寺院の本尊といって連想する厳めしさは感じませんでした。


智積院
真言宗智山派総本山智積院は七条通の突き当りに位置し、
これまで何度も前を通ったのですが、一度も足を踏み入れたことがありませんでした。

こちらの見どころといえば長谷川等伯による障壁画を収めた収蔵庫と利休好みの大書院庭園です。
等伯の「楓図」や等伯の息子久蔵の「桜図」など、
これまで何度も写真では見たことのある障壁画の実物をじっくりと見ることができました。
一般的には豪壮華麗と称される智積院の障壁画ですが、
私は楓に繊細さを桜に可憐さの方を強く感じました。
庭園では縁側に腰掛けて池に足を投げ出しのんびりくつろいでしまいました。


妙蓮寺
堀川寺之内にある本門法華宗大本山です。

表書院および奥書院の廊下から見える十六羅漢の石庭は
伏見城から移した臥牛石を中心に16個の石が配されたもので、
臥牛石を涅槃仏に見立て、15個の石を羅漢に見立てています。
そして16人目の羅漢は庭を見る自分自身とされています。
私には臥牛石は牛にも仏にも見えず鯨に見えてしまいました。

奥書院には通常は幸野豊一による「四季の襖絵」が配置されていますが、
今回の特別公開では長谷川等伯一派による襖絵がかけられていました。
「松桜の図」は金地に松と桜という桃山絵画らしい華やかなもので、
様式化された松とふんわりとした質感の八重桜が見事です。
「鉾杉の図」は伝統的な日本絵画では珍しく杉を中心に描いたもので、
幾何学的な杉と清楚な山桜の組み合わせがモダンささえ感じさせます。


光照院
堀川寺之内から狭い通りを入ったところにある尼門跡寺院です。

数々の花々が描かれた折り上げ格天井のある本堂は
小さいながらも代々皇女が入寺した門跡寺院にふさわしい気品と風格を感じます。
そして書院前の庭園に植えられた五葉松はまるで龍のようで大変見事なものです。


妙顕寺
堀川寺之内の寺院の中でも一際大きな寺です。
鎌倉時代後期に創建された洛中で最初の日蓮宗寺院で日蓮宗大本山となっています。

勅使門に面した客殿「四海唱道の庭」も大変見事なものでしたが、
もっとも印象に残ったのが本堂内陣です。
煌びやかに荘厳された仏像や祖師像の数々はいわゆる日本的な「侘び寂び」からほど遠く
異国的なものすら感じさせるもので強烈なインパクトがありました。

宝鏡寺
歴代皇女が尼門跡として入寺していた寺院で、
皇女たちが持参した人形が保存されているため「人形寺」として知られています。

こちらの特別公開は人形の公開が中心で、
御所人形や雛人形などどれも大切にされてきたことが伝わってきます。
昔祖母が持っていたような人形も展示されていて懐かしい思いになりました。

宝鏡寺を訪れたのは2回目ですが、書院や本堂は尼門跡にふさわしく典雅で、
京都でも好きな寺院の一つです。
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椿の寺


4月5日撮影


上の写真は京都・鹿ケ谷の霊鑑寺にある、天然記念物・日光椿(じっこうつばき)です。
霊鑑寺は椿の寺として知られ、30種以上の椿が植えられています。
毎年椿の咲く春と紅葉の秋に一般公開されています。

日光椿は雄しべが小さな花弁状になって円形にまとまる園芸品種の椿で、
霊鑑寺創建のころ(1680年代)に植えられたと伝えられており、
樹齢は300年以上と考えられています。
花芯を含め全体が濃い赤で、とても華麗な椿です。


「雪中花」

「雪の中の花」と名にふさわしく清楚な印象の花です。


「秋の山」

冬から春にかけて咲く椿に「秋」という言葉がついているのが不思議ですが、
豊かな花の容が美しい椿です。


「月光」

赤い花弁と白い花芯のコントラストが綺麗な椿です。


「散椿」

普通椿は花ごと枝から落ちますが、
この種類は花びらが一枚一枚散ることから「散椿」と呼ばれます。

私が一番好きな椿は野山に自生する深紅の五弁の椿なのですが、
様々な品種の椿を見て、椿という花の奥深さを感じました。

醍醐寺の桜


4月6日撮影:京都 醍醐寺


今回初めて醍醐寺へ行きました。
京都市中心部から離れていることもあってなかなか行く機会がなかったのですが、
今回時間に余裕があったため行くことができました。
国宝の金堂・五重塔をはじめとする伽藍、
および三宝院・霊宝館もとても見ごたえがあったのですが、
今回一番楽しみだったのは桜でした。


4月6日撮影

三宝院前の参道に咲く山桜です。
華やかなソメイヨシノや艶やかな枝垂桜とは一味違う清楚な雰囲気が魅力です。

  
4月6日撮影

霊宝館前に咲く枝垂桜です。
本当に見事で思わず見とれてしまう美しさです。


4月6日撮影

こちらも参道に咲いていた桜です。
種類は覚えていないのですが、
可憐な雰囲気が印象的な花だと思います。



このときは枝垂桜が見ごろで、どれも大変美しく咲いていました。
今頃はほかのさまざまな種類の桜が咲いていると思います。

都の桜2012


4月6日撮影 京都:円山公園


4月4日~6日にかけて大阪と京都へ行ってきました。
大阪はツタンカーメン展を見ただけだったのですが、
京都では様々な場所でいろいろな桜を見ました。

上の写真は「祇園の夜桜」として名高い円山公園の枝垂桜です。
夜にも桜を見に行ったのですが、
こちらは朝8時ごろに撮影したものです。
夜の妖しい美しさもさることながら、
朝の清々しい空気の中どっしりと立つ姿も趣深いものです。


4月5日撮影

祇園新橋「かにかくに」の碑前の桜です。
この日は早朝から街歩きを開始したのですが、
朝は人が少なくじっくりと桜や街並みを楽しめます。


4月5日撮影

水辺に枝を垂れる桜の姿はとても風流で優美な雰囲気です。


4月5日撮影

京都御所の桜です。このときは糸桜が見ごろを迎えていました。


4月5日撮影

京都御苑 近衛邸跡の糸桜です。

この翌日(4月6日)醍醐寺へ行ったのですが、
そちらの写真は改めて記事にしたいと思います。

今回哲学の道方面へも行ったのですが、
このときは哲学の道の桜はまだ咲きはじめでした。
地元にはほとんど枝垂桜が無いので、
京都で様々な美しい枝垂桜を見ることができたのは本当に眼福でした。


谷中・猫町めぐり

東京へは展覧会めぐりを目的に出かけたのですが、
今回の楽しみの一つが猫町と呼ばれる谷中めぐりでした。

谷中めぐりをするには地下鉄千代田線根岸駅・千駄木駅などから回るルートや
上野からのルートもあるのですが、
今回は日暮里駅から回るルートを選びました。


日暮里駅西口をでて5分ほど歩くと「夕焼けだんだん」と呼ばれる石段の道にでます。
その名のとおりここは夕焼けの名所として知られている場所です。
坂を下りると谷中銀座商店街です。
夕焼けだんだんの上、右手には猫雑貨店があります。

坂を下りて左折し、上野方面へ向かって歩きました。
細い路地をしばらく歩いて次の目的地に向かいます。

  
ギャラリー猫町は「猫」を題材にした作品を展示・販売するギャラリーで、
この時は「高原鉄男個展 猫島レポート■田代島篇■」と
猫が描かれたレコードジャケットの展示が開催されていました。
描かれた田代島の猫たちは皆力強くどっしりとした存在感を放っていました。

谷中にはおしゃれな雑貨店が点在していて、
そういった店を覗きながら歩くのも楽しみの一つです。
ロシア・東欧雑貨メインの店や、もちろん猫雑貨の店もあります。

散策の途中の休憩スポットにも事欠きません。
私が立ち寄ったのは猫町カフェ29(にっきゅう)という店で、
こちらには5匹の「猫スタッフ」がいて、愛らしい姿で接客してくれます。

猫カフェではなく、あくまでも「猫の居るカフェ」となっています。
こちらの名物は「29いきなり団子」で、黒豆と白豆を猫の肉球に見立て猫の手の形をした団子です。
このほか熊本の郷土料理なども味わえます。
温かい雰囲気でのんびり長居したくなる店です。

最後に寄ったのがねんねこ家です。

急な坂道の途中にある古い民家を利用した店で、
こちらにも猫店員が居るのですが、残念ながら私が行ったときには会えませんでした。


谷中から上野へ抜ける道には数多くの寺院があり、寺町としての趣を感じます。

今回初めていわゆる下町を散策したのですが、
最新のスポットだけではない東京の魅力を感じることが出来ました。
もっともっと色々な道を歩いてみたいなと思った次第です。