2つの展覧会と2箇所の桜を見た後に
第135回 都をどりを見ました。
都をどりは明治5年(1872)に京都にて開催された日本で最初の博覧会の余興として
祇園町の芸妓・舞妓が歌舞を披露したことに始まります。
以来昭和の戦中戦後の一時期を除き、
毎年4月1日から30日までの一ヶ月間開催される京都の春の風物詩となっています。
今年は「都風流名所絵巻」と題して、歌と踊りで京都の四季と名所を表現しています。
第一景 置歌(おきうた)
「都をどりはヨイヤサア」の掛け声と共に花団扇を手にした舞妓たちが登場します。
「置歌」はこれから始まる「都をどり」の全景を説明するオープニングの部分です。
「都をどり」では踊りはもちろん、歌や囃子方もすべて芸妓・舞妓によるものです。
私はこれまで日本舞踊の舞台を見たことはあったのですが、
生演奏によるプロの舞台を見るのは初めてで、
これが本物の芸の力なのだなと思いました。
第二景 下鴨神社初詣新春の下鴨神社を舞台に美しい舞が展開されます。
第三景 彦根屏風舞台は一転し、豪華な桃山風の御殿の中となります。
そこに置かれた屏風にはかぶき者の男や女、遊女や禿(かむろ)が描かれています。
「彦根屏風」は彦根藩主井伊家に伝来する屏風で
寛永年間の風俗を伝える傑作とされ、国宝に指定されています。
屏風の中から現れた男女による舞が展開されます。
いわゆる「日舞」とは一味違う「粋」を感じることができました。
第四景 清瀧川螢狩清瀧川は嵐山の上流にある川で、
今も清流として知られ、納涼や秋の紅葉狩りでにぎわう場所です。
螢狩を楽しむ様子を芸妓と舞妓の舞によって表現しています。
ここではいわゆる舞台用の衣裳ではなく、
お座敷に出るときの衣裳で舞っていたため、
「これが芸妓さん舞妓さんの踊りなのかぁ」という思いをより深くしました。
第五景 昔物語かぐや姫浄瑠璃語りによる芝居仕立ての舞です。
初めは影絵で竹取の翁がかぐや姫を見つける場面が紹介されます。
帝によるかぐや姫への求婚から、
かぐや姫が月の都へ帰るまでの場面が舞によって表されます。
十二単姿のかぐや姫にや直衣姿の帝
羽衣を身につけた天人たちの優美な舞姿や
かぐや姫が乗る天の車などの大道具や演出など実に見ごたえのある場面でした。
第六景 嵯峨野紅葉(さがののもみじ)
嵯峨野小倉山にある常寂光寺の境内での紅葉狩りの様子です。
第七景 越後雪野寒晒(えちごゆきののかんざらし)
都を離れ、越後平野の雪景色の中
小千谷縮を寒風に晒して仕上げる姿が舞によって表現されます。
縮に見立てた白い布が風や雪の舞う様子まで思わせ、大変効果をあげていました。
第八景 金閣寺桜満開フィナーレは満開の桜に囲まれた金閣寺庭園が舞台です。
桜の枝を手にしたすべての出演者が登場し、華やかに幕を閉じます。
「都をどり」は舞はもちろんですが、
細かなところにまで気を配った大道具・小道具
色とりどりの美しい衣裳など、見所が盛りだくさんでした。
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