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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

2007年08月の記事

ニンフェットたちの肖像

ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。
ウラジミール・ナボコフ『ロリータ』より



Tomas Cooper Gotch "Alleluia"


以前lapis様のところで美少女展という素晴らしい企画が行われていました。
私もいずれ少女像の特集をやってみたいと思っていたのですが、
ようやくそれが実現しました。

現在ウラジミール・ナボコフ『ロリータ』を読書中なのですが、
そこに登場するのが「ニンフェット」と呼ばれる少女です。
「ニンフェット」の定義は
9歳から14歳までの範囲で、その2倍から何倍も年上の魅せられた旅人に対してのみ、人間ではなくニンフの(すなわち悪魔の)本性を表すような乙女
とされています。

ここでは旅人千露が泰西名画の世界で見出した
愛しきニンフェットたちをご紹介します。

  
「美少女の肖像」といえばまず登場するのがルノワール描く少女たちでしょう。
左はまさに「令嬢」と呼ぶにふさわしい少女、
中央は現在来日中の親しみやすさと気品を兼ね備えた少女、
右の少女は愛らしさの中に危うさが漂っているように感じます。

  
上の3点は18世紀フランスの画家グルーズによる少女像です。
彼女たちが戯れている鳩や子羊は「無垢」「純真」を象徴するものです。

 
ブグローは美しい聖母や天使を数多く描いていますが、
貧しい身なりの少女であっても輝くような存在に描き出しています。


ブグロー夫人も優れた画家であり、このような可憐な少女像を残しています。

  
世紀末ベルギーで夢幻の世界を描き続けたクノップフは優れた肖像画家でもあります。
いずれも現実世界の少女を描いた肖像ですが、
どこか夢の世界の住人であるようにも見えます。

 
左はソフィー・アンダーソン
右はマリー・スパルタリ・スティルマンの作品です。
うねるような髪や物憂げな眼差しは
ラファエル前派の画家たちが愛した「スタナー」(美女)の片鱗を感じさせます。

 
王女マルガリータは私が最初に心惹かれた泰西名画の一つです。
右はベラスケスの影響多大なミレイの作品です。

 
リラの花と少女の組み合わせの美しさをただただ愛でるだけの2作品です。

 
ウォーターハウスは「妙齢の乙女」を巧みに描く画家ですが
数少ない「少女」像も大変魅力的です。

 
ヴィンターハルターはヨーロッパ各地の王侯貴族を描いた肖像画家です。
この2点はベルギーの王女を描いた作品です。
右のほうは王女にふさわしく「小さな貴婦人」として描かれていますが、
左のほうは美しさだけではなく危うさを放つ「ニンフェット」としての魅力を感じます。


冒頭でご紹介した作品『Alleluia』を描いたT.C.ゴッチの作品です。
子供と大人の狭間でのみ醸し出される魅力を感じます。


クリムトといえば妖艶な大人の女性像が有名ですが、
この作品では少女のもつ危うい美が描き出されています。

これら愛らしくも危ういニンフェットたちも
やがては妖精の羽を失い、人間世界に下りてくることとなります。
数々の名画に登場する「美女」もかつてはニンフェットだったのかもしれません。

以前少年コレクションと題して絵画に登場する少年を特集したのですが、
少年美と男性美は全く異なるものであるのに対し、
少女の持つ美と女性美は共通するものであるように感じます。
しかし、少女が「少女」である間だけ持つ独自の魅力というものも
これらの作品を見ていて感じることができました。
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