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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

2007年09月の記事

美術展のCM

今度愛媛県美術館で開催される
「国立ロシア美術館展」のスポットCMはとてもユニークなものですが、
過去にも展覧会のスポットCMで印象に残ったものがあります。

高松市美術館で開催された二つの展覧会のCMです。

「見るべきか、見ざるべきか…やはり見るべきだ。」(西洋絵画の中のシェイクスピア展 1993年3月)

これは『ハムレット』の台詞「生きるべきか、死すべきか…それが問題だ。」をもじったものです。
この展覧会で私は初めてウォーターハウスの実際の作品を見ました。

それが下の『オフィーリア』です。


もう一つはグルノーブル美術館展 1993年5月です。
こちらは個性的なキャッチコピーはなかったのですが、
使われていた音楽が『白い恋人たち』でした。
別に雪の季節の展覧会ではなく、
冬をテーマにした作品の展覧会でもないのに
どうしてだろうと思っていたのですが、
グルノーブルといえば冬季オリンピックが開催され、
その記録映画のテーマ曲が『白い恋人たち』だったことを思い出しました。

展覧会が開催されるときにはスポットCMにも着目してみようと思います。
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美・サイレント

タイトルが何を意味するかお分かりの方は
おそらく一定以上の年齢の方だと思います。
(私も一定以上の年齢の一人です)

昨日昼食時にテレビを見ていると
以下のような画像とともに表題の音楽が流れ始めたのです。



いったい何のCMなんだろうと疑問に思いました。



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さつきが希望しなかった(BlogPet)

さつきが希望しなかった。
それで千露の現代人は発見したいです。
だけど、きのう千露の、記事とか表現♪

*このエントリは、ブログペットの「さつき」が書きました。

月に寄せるvol.6―十五夜お月さん


うさぎ うさぎ 何見て跳ねる
十五夜お月さん 見て跳ねる


一昨日は「中秋の名月」でしたが、
今日は「満月」です。
といっても実は私は月を見てはいないのですが…

日本では月の模様を餅つきをする兎に見立ててきました。
諸外国でも蟹や女性の横顔、ガマガエルなど様々に想像を広げています。

本日は「西洋絵画に登場する兎」をご紹介します。


以前の記事「少年コレクション」に追加したくなるような美少年ぶりです。
兎の存在が彼の少年らしさを引き立てているようです。


少女の兎に対する優しい眼差しと
兎のつぶらな瞳がともに愛らしい作品です。


幼い姉弟と兎たちという何気ない日常の風景が
温かい雰囲気の中描き出された作品です。


ラファエル前派の画家が描いた「兎」です。
何かの物語の一場面のようですが、
どことなく中世版「不思議の国のアリス」を連想してしまいました。


ティツィアーノによる『聖カタリナと兎のいる聖母子』です。
兎は一般的に多産の象徴とされ祝婚画に多く描かれます。
「キリストの花嫁」である聖カタリナがともに描かれていることから
この聖母子像も結婚を祝うために描かれたものなのかもしれません。


「兎」を描いた西洋絵画といってまず思い浮かぶのは
デューラーのこの作品かもしれません。
ここに描かれているのは飼い兎ではなく野兎です。


デューラーの影響の強い作品ですが、
やや柔らかい印象を受けます。


19世紀アメリカの画家が描いた野兎です。
いわゆる愛らしい兎ではなく、
野生動物としての迫力や精悍さを感じます。

西洋の兎は飼い兎(rabbit)と野兎(hare)がはっきりと区別されていることが
これらの絵画を見ていてよくわかりました。

月に寄せるvol.5―Clair de Lune


Louis Maeterlinck "Clair De La Lune"


月明かりに照らされた宵の海(湖?)のほとりの光景と
欄干に絡まるつる薔薇の美しさが印象的な作品です。
まるで昼のような明るさですが、
まだ宵の口で満月に照らされていれば
このくらい明るい光景が広がっていたのかもしれません。
人工的な明かりに慣れてしまった現代人が失ってしまった情景なのでしょう。

Clair de Luneとはフランス語で「月の光」を意味しますが、
この言葉を聞いてまず思い浮かべたのが
ドビュッシーのピアノ曲『月の光』です。
非常に繊細で優美な曲で、私の好きな音楽の一つです。

『月の光』はヴェルレーヌの詩『月の光』から着想されたといわれていますが、
同じくフランスの作曲家フォーレもヴェルレーヌの詩に曲をつけた
歌曲『月の光』を作曲しています。
こちらの曲について知ったのは最近ですが、
月の光のさやけさ、薄闇の情景などが目に浮かぶような美しい旋律に
一度聞いただけで心惹かれてしまいました。

フォーレの『月の光』はこちらにてヴェルレーヌの詩とともに紹介しております。
秋の夜長の一時にふさわしい一曲だと思います。

月に寄せるvol.4―月華



今夜は十五夜ですが、皆様のところの月はいかがでしょうか?
私のところでは残念ながら雲に隠れて全く見えませんでした。
しかし夕飯時に月見団子だけはしっかりと食べました。
「花より団子」ではなく「月より団子」となっております。

「月華」とは「月明かり」「月光」の別名です。
冴え渡る月の光を言い表すのにふさわしい言葉です。
月光を花にたとえるならば
おそらく白く花弁は絹のように薄く、
夜の闇のなかでも存在を示すように香り高く、
そして暁の光とともに命を終える花であるように思えます。

タイトル画像は19世紀ドイツ・ロマン主義の画家エーメによる
『サレルノ湾の月夜』です。
この作品は2005年に開催された「ドレスデン国立美術館展」で初めて見たのですが、
海の蒼と月明かりの薄紅色の美しさが強く印象に残りました。

月に寄せるvol.3―月夜


クラムスコイ 月夜 1880


19世紀ロシアの画家クラムスコイの作品です。

クラムスコイといえば美しい女性を描いた『忘れえぬ人』で知られています。
この作品でもも美しい女性が描かれています。

私は自サイトの掲示板である方に教えていただくまで
この作品の存在を知りませんでしたが、
画像を初めて見たとき、一目で心惹かれました。

この作品は『月夜』と題されていながら「月」は全く描かれていません。
しかし、月光に浮かび上がる女性の神秘的な姿に
月が持つという不思議な力を感じる取ることができるようです。

名演奏家

You Tubeで発見したものです。
あんまり可愛いので、こちらに貼り付けてしまいました。

可愛いピアニストの名演奏をお聞きください。


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月に寄せるvol.2―月を眺める


フリードリヒ 月を眺める男と女 1830-35


月見の風習があり、月を身近なものと考えていた日本と異なり、
ヨーロッパでは月の光を浴びると狂気に陥ると考えられていたこともあり、
月を眺めることは不吉であるとされていました。

しかし、18世紀後半から19世紀初頭のドイツ・ロマン主義の画家フリードリヒは
月夜の情景や月を眺める人の姿を数多く描いています。

『月を眺める男と女』はフリードリヒ晩年の作品で、
黄昏というよりも、暁というほうがふさわしいような
柔らかな描線と色調で描かれています。
そして寄り添うようにして月を眺める男女からは
後姿でありながらどこか温かさを感じます。



フリードリヒ 月を眺める二人の男 1819


鋭い描線で描かれた木々の合間から見える三日月、
それを眺める二人の男の姿は
上の作品とほとんど構図は同じであるにもかかわらず、
ずいぶんと険しい印象を感じさせます。



フリードリヒ 海辺の月の出 1822


海辺の岩の上で月の出を眺める若い二人の女と年嵩の女は
いったい何を思っているのでしょうか?
海の向こうにいる家族のことを思い、その無事を祈っているのでしょうか?
フリードリヒの描く人物はほとんどが後姿で描かれ、
彼ら彼女らの思いを見るものが汲み取ることは困難ですが、
それゆえに見るものが思いを膨らませていくことができるように思えます。

月に寄せるvol.1


Evelyn de Morgan
"Luna"


現在My Sweet Roseのトップページに用いている作品です。
9月といえば「中秋の名月」なので、
「月」をテーマにした作品を選びました。

この作品は特に主題は無く、
「月」そのものを表現した作品のようですが、
見るものから顔を背け、縛めを纏った彼女のメランコリックな姿に
“lunatic”の片鱗を感じます。

月に関する物語は様々なものがあり、
それらを描いた絵画作品も多数あります。
そういった作品を満月の日まで紹介していきたいと思っております。