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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

2008年02月の記事

人魚

だれがなるの
うるわしの人魚に
海底の
王座に 座り
パールの櫛で
金髪の まき毛を
くしけずり ひとり
うたう 人魚に。

わたしがなるわ
うるわしの人魚に ひがな
ひとり歌をうたい パールの櫛で
捲毛をとくの くしけずりながら
こううたうの 「だれが愛してくれるかしら
それとも 愛してくれないの」と。

テニスン 「人魚」より



ウォーターハウス 人魚


人魚を描いた絵画作品の中でも好きなものの一つです。
「ファム・ファタル」的要素はあまり見られませんが、
美しい髪を梳く姿態や
冷たい水や鱗と対比を成すような滑らかな肌からは
艶やかな美しさを感じます。

最初に掲げたテニスンの詩に登場する人魚は
いわゆる「誘惑のセイレーン」というタイプではなく、
清純可憐なお姫様というタイプの人魚ですが、
やはり見るものの心を惹きつけずにはいられない存在として表されています。

一度「人魚の歌声」というのを聴いてみたいような気もしますが、
そうすると二度と現実世界へは戻れなくなってしまいそうです。
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