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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

2008年03月の記事

フローラ vol.3―花を持つ女


ティツィアーノ フローラ 1515頃


ティツィアーノの初期の代表作で、
「フローラ」を描いた絵画の中で最も有名なものの一つです。
豊饒の女神にふさわしく豊かな量感と穏やかな表情の女性像です。
右手に持つ花は彼女が「花の女神」であることを示しています。



レオナルド晩年の愛弟子メルツィの作品です。
かすかに微笑むフローラの表情に師匠の影響を強く感じます。
花の女神を描いた作品としてはあまりに静謐で、どこか神秘的なものを感じます。



こちらもレオナルドの影響を受けた画家の作品です。
表情やポーズは『モナリザ』をなぞったものです。
『モナリザ』の持つ秘めたエロティシズムを露わにした
「裸のモナリザ」の一つと言えるでしょう。



バルトロメオ・ヴェネトの謎めいた作品です。
この作品のモデルは一説にはルクレツィア・ボルジアであるとも言われていますが、
花を手にしていることからフローラを描いたものであるとも言われます。
一般的にフローラは豊満な肉体で描かれることが多いですが、
こちらの女性はむしろ中性的ともいえる肢体をしています。
彼女が手に持つ花はアネモネ・マーガレット・金鳳花で、
それぞれマドンナ、貞淑、狂気を象徴しています。
彼女は「狂気」を手にしているというところが大変興味深い点だと思います。



ヴェネツィア派の画家パルマ・イル・ヴェッキオの『女の肖像』です。
彼はこの作品に見られるような豊満な女性像を何点も描いています。
こちらも花を手にしているところから『フローラ』とも呼ばれています。

これまで見てきた「フローラ」たちに共通する点があります。
彼女たちはいずれも胸を露わにした姿で描かれていることです。
この胸を露わにしたポーズは
モデルがコルティジャーナと呼ばれた高級娼婦であることを暗示しています。
当時「フローラ」はコルティジャーナの源氏名としても多い名前でした。
春の女神の持つ官能性が春をひさぐ女たちに重ねあわされたものが
これらの「フローラ」であるといえるでしょう。



北方マニエリスムの画家ヤン・マセイスの『フローラ』です。
マセイスは神話や聖書の物語を借りた妖艶な女性像を多く描いています。
イタリアのフローラたちの豊饒な美しさとは対照的な
冷ややかな官能性に満ちた作品です。
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