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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

2008年08月の記事

デリラ Famme Fatale vol.5


モロー デリラ

旧約聖書士師記に登場するイスラエルの英雄サムソンは
無双の怪力を誇っていました。
当時イスラエルと敵対していたペリシテ人たちは、
サムソンの怪力の秘密を探るため、彼の恋人のデリラを買収します。

「デリラ」とは「密告者」を意味する名前です。
彼女の出自は明らかにはされていないのですが、
おそらくペリシテ人に近い部族の出身であったものと考えられています。

デリラはサムソンに怪力の秘密を教えて欲しいと三度尋ねますが、
三度とも偽りの返事をされてしまい、
どうしても秘密を探ることが出来ませんでした。

そこでデリラは作戦を変更し、
「自分のことを本当に愛していないから嘘をつくのだ、
本当に私を愛しているのなら嘘などつかないはず。」
と毎日のように同じことをしつこく繰り返したのです。
このことに「耐え切れず、死ぬほどつらくなった」サムソンは
髪の毛を剃られると力が失せてしまうという秘密をデリラに話してしまいます。

サムソンは天使のお告げによって石女から生まれ、
最期自らも犠牲となって死ぬなどの点から
キリストの先駆者とも考えられています。
デリラはキリストの先駆者を破滅に追いやった妖婦とされたのです。

デリラは女の持つ「忍耐強さ」(悪く言えば「しつこさ」)を武器に
サムソンを誘惑し、責め立てます。
女の執拗さに耐え切れなくなった男は、
それから逃れるために後先考えず言ってはならない一言を漏らしてしまうのです。

バロック期にはルーベンス、ヴァン=ダイク、レンブラントなど
多くの画家が取り上げた「サムソンとデリラ」の画題ですが、
世紀末にはモロー以外にはあまりめぼしい作品はありません。


モロー サムソンとデリラ

怪力を誇る男というにはあまりにも優美なサムソンは
まだ髪の毛を剃られていないにもかかわらず、
すでに力を失ってしまっているようです。
デリラは無力化されたサムソンを支配する女王の如く嫣然と微笑んでいます。
美貌と官能的魅力によって男を誘惑し破滅に導く「宿命の女」そのものとして描かれたデリラです。

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