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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

2008年10月の記事

女優の肖像vol.3―アンリエット・アンリオ


ルノワール アンリオ夫人 1876頃


アンリオ夫人ことアンリエット・アンリオは
1870年代のルノワールのお気に入りのモデルの一人で、
当時駆け出しの女優で、オデオン座に出演していました。
彼女は少なくとも11点のルノワール作品に描かれています。

上の作品はアンリオ夫人をモデルにした中でも最も有名な作品です。
彼女はしばしば最新のパリ・モードを身につけてモデルを務め、
当時流行の四角く胸の開いた夜会服を身につけています。



『パリジェンヌ』(1874)と題されたこの作品では
当時最新流行だった鮮やかな青一色のドレスを身につけた姿で描かれています。
ルノワール描くアンリオ夫人は大きな瞳が印象的な女性ですが、
実際よりも多少美化されているといわれています。



こちらの作品は上の二つとはやや印象の異なる作品です。
長く垂らした髪によって少女っぽい雰囲気が醸し出されています。



舞台で男役を務めるアンリオ夫人です。
他の多くの作品が「キュートなパリジェンヌ」という感じであるのに対し、
この作品では「女優」としてのアンリオ夫人が描かれているようです。

アンリオ夫人は21歳のときに68歳の元スター俳優との間に娘ジャンヌを出産しました。
ジャンヌも女優となり、コメディ・フランセーズの寄宿生となりますが、
劇場の火事に巻き込まれ21歳の若さで亡くなってしまいます。
アンリオ夫人は終生その痛手から立ち直れなかったといわれています。
娘の死後引退したアンリオ夫人は87歳で亡くなるまで生涯独身でした。

悲劇的な後半生を送ったアンリオ夫人ですが、
ルノワールの柔らかな絵筆によって
若き日の幸せな姿が永遠に留められていることは
彼女にとってせめてもの救いであると思えます。
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