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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

2008年11月の記事

モーセの発見


アルマ=タデマ モーセの発見 1904

籠に入れられてナイル川に流された赤ん坊のモーセを
エジプト王の娘が見つけるという、『モーセの発見』という題材は
美しい貴婦人と若い侍女たちを描くことが出来ることもあり
ルネサンス以来よく取り上げられる画題です。
ヴェネツィア派の画家ヴェロネーゼは
当時のヴェネツィアのトップモードに身を包んだ王の娘を描き、
プッサンは古代ギリシア風の衣裳を身につけた姿で描いています。

19世紀以降、『モーセの発見』を描いた作品に大きな変化が見られます。
それまでヨーロッパ風の衣裳や舞台設定で描かれていたものが、
古代エジプト風の装いで描かれるようになったのです。
考古学上の発見やヒエログリフの解読により、
古代エジプトに関する情報が飛躍的に多くなったことがその一因といえるでしょう。


Edward Goodall モーセの発見 1885

19世紀英国の画家による作品です。
神殿の塔門などは実際のものを正確に再現しています。
王の娘の側にいるのは知恵の神トトの聖鳥イビス(トキ)です。
王女は侍女たちと比べて白い肌で描かれ、
彼女が外で日焼けすることの無い高貴な身分であることを表しています。


エドウィン・ロング モーセの発見 1886

古代エジプトを題材に数多く描いた画家の作品です。
王の娘と彼女を取り囲む侍女たちの構図は
ルネサンス以来の前例を踏襲したものです。
王の娘が赤子に手を差し伸べる姿が印象的です。

冒頭で紹介したアルマ=タデマの作品では
王の娘が輿に乗り、モーセの入った籠を侍女たちに担がせて
宮殿へ戻るところが描かれています。
侍女の一人は金髪に白い肌で、おそらく外国人であると思われます。
19世紀以前の『モーセの発見』では
しばしば侍女の一人を黒い肌で描くことによって
異国情緒を表現していましたが、
それとちょうど反対の表現がなされているといえます。
衣裳や調度品なども古代エジプトらしく表現され、
ヒエログリフも正確に写し取られています。
非常に色彩豊かでアルマ=タデマの作品の中でも
一際華やかなもののひとつだと思います。

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