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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

2008年12月の記事

死を告げる者


カルロス・シュヴァーベ 墓掘り人の死 1895-1900

天使の役割の一つに「死を告げる」ことがあります。
聖母マリアのもとにも大天使ガブリエルが死のお告げのため訪問しています。
受胎告知の時には白い百合を手にマリアを訪ねましたが、
死の告知の際には蝋燭を手にしてやってきます。

シュヴァーベの作品は墓掘人の老人に訪れた「死」を描いています。
死の天使は美しい女性の姿で描かれています。
天使の右手には緑に光るものが描かれていますが、
これは死者の魂でしょうか?
長く鋭く伸びた翼は死神の持つ鎌を思わせます。


イヴリン・ド・モーガン 死の天使

鎌を手にした死の天使が描かれています。
背景に描かれた糸杉の木も死を象徴するものです。
鎌は本来ギリシアの農耕神クロノスの持物でしたが、
ギリシア語で「時」をクロノスということから
農耕神クロノスと「時」が同一視されるようになり、
「時」の擬人像(時の翁)も鎌を手にするようになりました。
時の翁の鎌は時間を刈り取るもので、現世の時間的むなしさを象徴します。
やがて死の天使ひいては死神も寿命を刈り取る鎌を持つ姿で表されることとなります。


ヴェダー 死の杯 1885

アメリカの象徴主義の画家ヴェダーによる作品です。
この主題はペルシアの詩人オマル・ハイヤームの『ルバイヤート』に取材したものです。
天使は浅黒い肌に描かれ、東方趣味を醸し出しています。


オラース・ヴェルネ 死の天使 1851

黒い影のように若い娘に忍び寄る「死」を描いています。
一見恐ろしげな様子ですが、
娘が右手で天を指差していることと神を象徴する光が差し込んでいることから
若くして亡くなったこの娘は天国へ召されることがわかります。

死は万人に訪れるものであり、
ひとたび死の翼に触れれば二度と生の世界へ戻ることは叶いません。
「死の天使」たちは限りある「生」をよりよく生きるよう諭してくれているのかもしれません。
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