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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

2009年02月の記事

閑話休題~サロメが恋した男

サロメが恋した預言者ヨカナーンとは洗礼者ヨハネのことです。

ヨハネの母は聖母マリアの従姉妹エリザベツで、
彼はキリストの又従兄弟に当たります。
ヨハネは少年時代に一人荒野に修行に出て、
駱駝の毛皮を纏い、蜂蜜とイナゴを常食として過ごします。
その後説教師としてその名が知られるようになったヨハネは
自らを旧約聖書の預言者イザヤの言葉を引用して
「私は荒野で呼ぶ声である。『主の道をまっすぐにせよ』と」いい、
救世主の先駆者であると述べています。
彼はヘロディアスが前夫の兄弟であるヘロデと再婚したことを糾弾したために投獄され斬首刑に処せられます。

絵画においては毛皮を身にまとった苦行者の姿をとることが多く、
古い時代の作品では髭を生やしやせ細った様子で描かれています。
聖母子とともに描かれる場合には
幼子イエスと戯れる愛らしい幼児の姿で描かれます。

ルネサンス期からバロック期にかけて洗礼者ヨハネは時に美少年や美青年の姿でも描かれました。


荒野で修行する少年時代のヨハネを描いたラファエロの作品です。
十字架を指差す姿は彼がキリストの先駆者であることを示しています。
甘美な聖母子像で知られるラファエロですが、
この作品は甘さを感じさせないものに仕上がっています。


マニエリスムの画家ブロンズィーノの作品です。
体をひねったポーズが独特の存在感を醸し出しています。


官能的な少年像を数多く描いたカラヴァッジョの作品です。
この作品は初期に描かれたもので、
暗い背景から美しい裸身が浮かび上がる様子が印象的です。
表情も柔らかく荒野の苦行者というよりも神話の羊飼いといった風情です。


グイド・レーニの作品です。
彼が何点も描いた聖セバスティアヌス同様
この洗礼者ヨハネも甘美な魅力を放っています。


レオナルド晩年のこの作品は数ある洗礼者ヨハネ像の中でも最も謎めいたもので、
両性具有的な魅力に満ちています。
豊かな髪、謎をかけるような瞳、微笑をたたえた口
サロメが恋し、欲望を募らせたヨカナーンとはこのような雰囲気だったのではないかと感じます。

(今回意図的に図版をモノクロにしております。クリックするとカラー図版が現れます。)
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