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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

2009年06月の記事

眠る女―Sleeping Beauty

lapis様のブログにて画集:「眠る女」を取り上げておられます。

今回の記事は2006年11月24日に以前のブログで公開した記事の再掲です。
基本的に当時のままUPしています。


眠る女 Sleeping Beauty 解説:山田登世子 1995 トレヴィル
 美しいものはすべて眠る。
 この世を、時の歩みを忘れ果てて。
本書帯より

以前トレヴィルから出版されていた「女」シリーズ(?)の三冊目です。

世紀末象徴主義・ラファエル前派の画家たちの描くさまざまな「眠る女」たちを
4章に分けて紹介しています。

Flaming June
表題となった『燃え上がる六月』をはじめとするレイトンの作品のほか、
アルバート・ムーア、アルマ=タデマ描くまどろむ古代の女たち
ホイッスラー、ティソ描く近代(当時においては「現代」)の娘、
ミレイ描く“お寝む”になってしまった幼女など(実に愛らしいです)
多様な「眠る女」の姿を見ることができます。
中でもクリムト『少女』の多くの女たちが一体になって眠る姿には
「輪廻」というか、「生命の循環」を感じます。

Sleeping Princess
バーン=ジョーンズの『いばら姫』を初めとして、
ウォルター・クレインの『眠り姫』やウォーターハウスの『聖カエキリア』など
物語に登場する「眠る女」たちの姿が紹介されています。

The Nightmare
フュスリ『夢魔』のほかデルヴィル、ムンクなどの情念に満ちた「眠る女」が紹介されいます。
これらの作品を見ていて
眠っているときに見る夢は甘美なものだけではなく、
時として恐ろしいものであることもあると感じました。
この章の冒頭はクリムト『ダナエ』なのですが、
この後に登場する悪夢の女たちを見ていると、
あの恍惚とした表情をしたダナエの歓びも儚いもののように思えます。

Hope
ウォッツ『希望』ブレイク『あわれみ』といった
これまでに見てきた「眠る女」とは異なった系統の女の姿を見ることができます。
悪夢の女たちの後で見る『希望』は
パンドラの箱を開いてしまった人間の最後の寄る辺のように思えます。
これら「眠る女」の姿は世紀末象徴主義者たちの
20世紀という新しい時代に対する「恐れ」の表れであったように思えます。
混沌の世紀末で未来への展望が開けない中
ある者は美しい夢を追い求め、永遠に眠り続ける女を描き、
またある者は己の内面を「悪夢」の形で表したのではないでしょうか。
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