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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

2010年03月の記事

古代カルタゴとローマ展

チュニジア世界遺産 古代カルタゴとローマ展
2月11日~4月4日 京都文化博物館

古代地中海に栄えた海洋国家カルタゴの軌跡をたどる展覧会です。
今回の展覧会はチュニジア国内の複数の博物館から出展された作品が展示され、
その9割以上が日本初公開となります。
私はこれまで古代エジプトやギリシア・ローマ関連の展覧会は何度も見ているのですが、
カルタゴに関する展覧会は初めてで、大変興味深く観覧しました。

カルタゴは約2800年前にフェニキア人によって築かれ、
ローマとの覇権争いに敗れ一度破壊されました。
その後ローマの統治下において植民都市として再興されました。

第1章 地中海の女王カルタゴ
フェニキア人は交易によって栄えた民族で、
エジプト、ギリシアなど地中海周辺諸国の影響を融合させて
独自の文化を発展させました。
女性神官の浮き彫りが施された石棺が展示されていましたが、
衣裳や髪型はエジプト風、立体的な造形はギリシア風でした。

人物彫刻を見ても直線的なエジプト風のものもあれば
流れるようなギリシア風のものもあるなど
カルタゴがいかに周辺諸国の文化を取り入れ消化していったのかがわかりました。
装身具などの細工も繊細で、
イルカのイヤリングなど現代の宝飾品としても充分に通用するデザインです。

ポエニ戦争時代の鎧には戦の守護神としてミネルヴァが打ち出されています。
ミネルヴァはローマの女神であり、本来敵国の神のはずですが、
おそらく地中海世界一体で戦の神として信仰されていたのでしょう。

第2章 ローマに生きるカルタゴ
再興されたカルタゴはローマ帝国きっての軍港・商業港として大いに発展しました。
そしてローマ文化と融合した独自の文化を発展させることとなりました。

この章で注目すべきはモザイクの数々です。
『バラのつぼみを撒く女性』
衣を翻し軽やかに舞いながらバラの蕾を撒く女性が描かれています。
上半身裸体の姿で表されていることからヴィーナスとの関連が指摘されていますが、
花を撒く女神といえばフローラを連想しました。

『水を注ぐ女性』
『バラのつぼみを撒く女性』と対になると思われる作品です。
優美な後姿を見せながら水を注ぐ姿は複雑なポーズですが不自然さを感じさせません。
「生命の源」としての「水」を思わせる図像です。

『メドゥーサ』
バロック絵画に描かれたメドゥーサは非常に恐ろしい形相ですが、
こちらのメドゥーサは豊頬の穏やかな表情です。
元来メドゥーサは地母神的性格を持つ存在で、
北アフリカでは豊饒と厄除けを願ってメドゥーサ像が描かれました。
メドゥーサの髪の蛇も恐ろしいというよりも神の眷族といった感じです。

『地中海の島々と都市』
縦5.3m 横5mの巨大なモザイクです。
古代地中海の12の都市と島が描かれ、海には船が浮かび、魚が泳ぎ、
有翼のプットが舟を漕ぎ釣りをしています。
これこそ海洋都市カルタゴを象徴する作品なのではと思いました。
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