Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

2011年11月の記事

谷中・猫町めぐり

東京へは展覧会めぐりを目的に出かけたのですが、
今回の楽しみの一つが猫町と呼ばれる谷中めぐりでした。

谷中めぐりをするには地下鉄千代田線根岸駅・千駄木駅などから回るルートや
上野からのルートもあるのですが、
今回は日暮里駅から回るルートを選びました。


日暮里駅西口をでて5分ほど歩くと「夕焼けだんだん」と呼ばれる石段の道にでます。
その名のとおりここは夕焼けの名所として知られている場所です。
坂を下りると谷中銀座商店街です。
夕焼けだんだんの上、右手には猫雑貨店があります。

坂を下りて左折し、上野方面へ向かって歩きました。
細い路地をしばらく歩いて次の目的地に向かいます。

  
ギャラリー猫町は「猫」を題材にした作品を展示・販売するギャラリーで、
この時は「高原鉄男個展 猫島レポート■田代島篇■」と
猫が描かれたレコードジャケットの展示が開催されていました。
描かれた田代島の猫たちは皆力強くどっしりとした存在感を放っていました。

谷中にはおしゃれな雑貨店が点在していて、
そういった店を覗きながら歩くのも楽しみの一つです。
ロシア・東欧雑貨メインの店や、もちろん猫雑貨の店もあります。

散策の途中の休憩スポットにも事欠きません。
私が立ち寄ったのは猫町カフェ29(にっきゅう)という店で、
こちらには5匹の「猫スタッフ」がいて、愛らしい姿で接客してくれます。

猫カフェではなく、あくまでも「猫の居るカフェ」となっています。
こちらの名物は「29いきなり団子」で、黒豆と白豆を猫の肉球に見立て猫の手の形をした団子です。
このほか熊本の郷土料理なども味わえます。
温かい雰囲気でのんびり長居したくなる店です。

最後に寄ったのがねんねこ家です。

急な坂道の途中にある古い民家を利用した店で、
こちらにも猫店員が居るのですが、残念ながら私が行ったときには会えませんでした。


谷中から上野へ抜ける道には数多くの寺院があり、寺町としての趣を感じます。

今回初めていわゆる下町を散策したのですが、
最新のスポットだけではない東京の魅力を感じることが出来ました。
もっともっと色々な道を歩いてみたいなと思った次第です。

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トゥールーズ=ロートレック展

三菱一号館美術館コレクション トゥールーズ=ロートレック展
10月13日~12月25日 三菱一号館美術館

三菱一号館美術館は1894年にジョサイア・コンドル設計で丸の内に建てられた「三菱一号館」を復元した建物で、
19世紀当時の意匠や建築技術を忠実に再現しています。
展示室の他カフェやショップ、歴史資料室を備えています。

今回の展覧会では三菱一号館美術館所蔵のロートレックによるポスター、リトグラフの他
試し刷り、晩餐会のメニューなども展示されています。

第1章 トゥールーズ=ロートレック家の故郷・南西フランスと画家揺籃の地アルビ
こちらではフランス・アルビ市のトゥールーズ=ロートレック美術館所蔵の家族・友人の肖像画や
ロートレックの故郷である南西フランスを描いた風景画、初期の習作などが紹介されていました。

第2章 世紀末パリとモンマルトルの前衛芸術
ムーラン・ルージュを初めとする19世紀末パリの歓楽街の踊り子や歌手を描いた作品や
ミュージックホールや芝居の広告ポスターなど
「ロートレック」といえばまず思い浮かべるような作品群が展示されています。

第3章 芸術家の人生
雑誌や芝居のポスター、友人らの肖像、娼婦たちの日常を描いた『彼女たち』連作の他、
動物やサーカスのデッサン、晩餐会のメニューなど
画家の人生を垣間見ることの出来る作品が展示されています。

以下は印象に残った作品です。
(注:こちらで挙げた画像は展覧会に出展されていたものとは異なります)


モデルとなったアリスティド・ブリュアンは19世紀末パリの人気歌手・詩人で
ロートレックに数々のポスターを依頼した人物でした。
量感豊かな黒い背中とそれを引き締める赤いスカーフが印象的です。


ポスター作家としてのロートレックの人気を決定付けた作品です。
踊っているのは当時売れっ子だったラ・グリュで、
肉感的な彼女の激しい踊りは人気を博していました。
前景のシルエットの男性は骨無しバランタンと呼ばれたダンサーです。
豊満なラ・グリュとのコンビで人気を博しました。


ジャヌ・アヴリルはロートレックお気に入りのモデルとなった踊り子で、
ラ・グリュとは対照的な細身で可憐な印象の女性でした。
彼女は当時の踊り子としては珍しく教養豊かで詩人や文学者との交流も好んでいたそうです。


こちらでジャヌ・アヴリルが着ている衣裳はとても斬新なデザインで
現在のパリコレなどで発表されたものといっても違和感が無さそうです。


キャバレー「ディヴァン・ジャポネ」の広告ポスターで、
中央の黒いドレスの女性はジャヌ・アヴリルです。
売れっ子の踊り子だった彼女をモデルにすることで、
「スターもやって来る店」という印象を持たせる効果を出そうとしたといわれています。


英国出身の歌手メイ・ベルフォールを描いたポスターです。
当時のパリでは多くの英国人歌手・俳優が活動していました。
メイ・ベルフォールは大きなリボンのついたボンネット、フリルたっぷりのドレスという姿で
自分の飼っている黒猫を抱いて舌足らずな声で歌っていたといいます。
現代日本に彼女のような歌手がいたらロリータ少女たちのカリスマと呼ばれそうだと思いました。


リトグラフ集『彼女たち』より『行水の女―たらい』です。
『彼女たち』は娼婦たちの日常を淡々とした筆致で描いたものですが、
娼婦の姿をエロティックに描いたものを期待していた向きには不評だったようです。

これまでロートレックの作品を系統だって見たことは無かったので
この機会にじっくりと見ることが出来て本当に良かったと思います。
彼のデッサンの的確さや、一見美しくないけれど愛情をこめて描かれた人物の表情など
ロートレック作品の魅力を堪能することが出来ました。

アール・デコの館 東京都庭園美術館建物公開

アール・デコの館 東京都庭園美術館建物公開 10月6日~10月31日

東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)の建物公開へ行ってきました。
庭園美術館はその存在を知ってから是非一度行ってみたいと思っていた
私にとって憧れの場所の一つです。


正門を入り木立を抜けると1930年代モダニズム建築らしい簡素な外観の建物が見えてきます。
二階の丸くなった出窓部分がわずかに装飾性を醸し出しています。


玄関を入るとまず出迎えてくれるのがルネ・ラリックによるガラスの扉レリーフです。
よく写真では見かけますが、実物は実に繊細優美でいつまで眺めていても飽きる事がありません。

一階は接客やセレモニーに使われた「御殿廻り」と
使用人たちのスペースである「臣下廻り」からなっていました。
御殿廻りの主な客室はフランスの画家・デザイナー、アンリ・ラパンが内装を手がけました。
ラパンは1925年に開催されたアール・デコ博覧会において
フランス大使館パヴィリオンの大広間・食堂をはじめ、
多くのパヴィリオンのデザイン・装飾を行っています。

玄関ホールのモザイクタイルです。
こちらはアール・デコ博覧会のパヴィリオンを参考にしてデザインされたものです。


玄関脇にある第一応接室です。
来客はまずこの部屋に通されました。

大広間から大客室、次室。次室からさらに小客室につながっています。


大広間を飾るイヴァン=レオン・ブランショ作の大理石レリーフ《戯れる子供たち》です。
「子供」というよりも「少年」と呼ぶほうがふさわしい年齢の男子たちが戯れる牧歌的な情景が描かれています。

次室には庭園美術館の象徴とも言える香水塔があるのですが
残念ながら逆光になってしまって綺麗に写真が撮れませんでした。

小客室は森と小川が描かれた壁画に囲まれた落ち着いた雰囲気の空間です。

小客室の暖炉の上に置かれたロイヤルコペンハーゲン社製の三羽のペンギンです。
愛らしい姿で今回の展示作品の中でも人気のものの一つでした。


大食堂の壁画を手がけたのはアンリ・ラパンです。
暖かみのある色彩で描かれた風景や静物は食堂を飾るのにふさわしいものといえます。

大食堂のシャンデリアもラリックによるものです。
非常にモダンで現代的な雰囲気です。


二階へ続く第一階段の装飾です。

二階は朝香宮一家の生活の場として使用されました。
殿下居間・書斎はアンリ・ラパンが内装を手がけ、
それ以外の部屋は宮内省内匠寮の技師がデザインした和製アール・デコです。


書斎は部屋の壁に飾り棚が配され、八角形に見えるつくりになっています。


殿下寝室と妃殿下寝室を挟んで位置する第一浴室です。
薄緑色の大理石が一面に使用され重厚な雰囲気です。
浴槽・洗面台・シャワーなど当時の最新鋭の設備は外国から輸入されたものです。


第二階段踊り場の照明は色とりどりのガラスで作られた多面体で
点灯すると天井をカラフルに彩ります。
こちらは宮内省内匠寮工務課によるもので、
和製アール・デコの名品といえるでしょう。

二階のベランダ「北の間」は夏場涼をとるために使われた部屋です。
北側にあるため直射日光は入らず、柔らかな光に包まれていました。
この部屋にはラリックのガラス器が数点展示されていました。

三階にはウィンターガーデンがあります。
夏場に涼めるように作られた二階の北の間に対して温室として設計されました。

床面と一部壁面の市松模様が大変モダンな印象を演出しています。

アール・デコといえば「曲線美」のアール・ヌーヴォーに対して
「直線的」「人工的」な印象がこれまであったのですが、
こちらの装飾を見ていると、植物や魚、昆虫といったモチーフや
流れるようなモチーフなど、様々な魅力を持つことが分かりました。
庭園美術館を一言で言い表すならば「アール・デコの宝石箱」とでもいえるのではないかと思います。
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