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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

2012年04月の記事

古布と人形~四季を飾る

現在愛媛県南予地方にてえひめ南予いやし博が開催されているのですが、
その関連イベント
古布と人形に癒されて絆を深める 四季飾り展
~ヤヱ子コレクション~
:宇和島市立コスモスホール三間 へ行ってきました。

こちらの展示内容は
宇和島市三間町内の個人が50年来趣味で集めている人形や縮緬細工などで、
それらを用いてホールいっぱいに日本の四季を表現していました。
人形は古い時代のものだけではなく、
古裂作家の帯刀碧晃(たてわききよこ)の作品約50点もあります。

ホールに入ると、時計回りに
ひな祭り、端午の節句、夏祭り、納涼、秋の情景、冬の団欒、正月と
四季の風景が繰り広げられていました。

おひな様飾り

木目込雛はよくあるのですが、
こちらが珍しいのは五人囃子ではなく七人囃子になっていることです。
五人囃子は謡・太鼓・小鼓・大鼓・笛というのが一般的ですが、
こちらではさらに箏と琵琶が加わっています。
衣装も五人囃子では一般的な直垂ではなく、狩衣が着せられています。


雛道具の一部です。
小さな鋏にはちゃんと刃がついていて実際に使えるようです。
物差しやヘラも人形サイズで精巧にできています。


今回非常に珍しいと思ったものの一つです。
写真でははっきり見えにくいのですが、こちらは紙で出来た平面の人形です。
押絵のようにわずかに立体化されています。

五月飾り
鯉のぼり、五月人形(甲冑・武者人形・桃太郎など)をはじめ、
庭(農村の風景)を作り、人形を配して初夏の情景を表現していました。

夏飾り

左上には祇園祭の山鉾巡行、
下には様々な店(茶店・金魚売・菓子屋・花屋そのほか)が飾られて
夏の京の街が表現されています。


蚊帳で午睡する少女たち(大きめの市松人形)を中心に
赤子の姿の這い這い人形、
そして団扇や硝子の器で涼を取る様子が表されています。
人形には絽の着物が着せられています。


子供たちと動物たちによる盆踊り大会です。
犬のクレープ屋と猿のたこ焼き屋の屋台も登場しています。
私が一番好きなのは写真にははっきり写っていませんが、
浴衣を着た三毛猫の少女です。

秋の飾り

帯を水の流れに見立てた曲水の宴です。
水の上に和歌を記した短冊が浮かべられています。


七五三の祝いを迎えた少女が身に着ける櫛や簪です。
これらは本当に年代物だと思います。


こたつに入って正月を待ちわびる子供たちです。
実に絶妙な表現がなされていると思います。
このほか秋の飾りには御所人形『菊慈童』や本物の箏や琵琶なども展示されていました。

正月飾り

ミニチュアの凧や干支人形、能『翁』『羽衣』の人形など
正月らしいめでたい飾りつけがありましたが、
圧巻は15本の歌舞伎羽子板です。
八百屋お七、助六、京鹿子娘道成寺、鳴神など
歌舞伎の登場人物をあしらった二尺の羽子板は実に見事でした。

昨今「癒し」「絆」という言葉は若干使い古された印象もするのですが、
この会場内に入ると広いホールいっぱいの展示に圧倒されると同時に
実際にその時代を知らない世代であるにも関わらず
どこか懐かしく、心和む気持ちになれて、
「癒し」を感じ取ることができました。

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