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2012年10月の記事

政宗見参!―仙台藩伊達家と宇和島藩伊達家―

政宗見参!―仙台藩伊達家と宇和島藩伊達家―
9月7日~10月8日 宇和島市立伊達博物館

現在愛媛県南予地方一帯で開催されている「えひめ南予いやし博2012」の
事業の一環としての秋季特別展です。

宇和島藩初代藩主伊達秀宗は伊達政宗の長男で、
今回の展覧会は「親子の絆」をテーマに書状や和歌などの展示のほか、
政宗の戦国武将としての姿に触れられる品々
仙台藩伊達家の菩提寺・瑞巌寺ゆかりの品々などが展示されています。

第一展示室:戦国武将、政宗 ~政宗と秀吉の関係を中心に~
●黒漆五枚胴具足 伊達政宗所用 (重要文化財・仙台市博物館蔵)
政宗愛用の甲冑で、全体に黒漆が塗られているためこの名で呼ばれます。
兜につけられた弦月型の前立の金色が唯一の装飾となっています。
古い時代の大鎧は色とりどりの糸で仕上げられ、
胴にも華やかな装飾が施されていたのと比較すると、一見地味な印象ですが、
黒漆の光沢が美しく、余分な装飾を排した意匠は粋だと思います。

●伊達政宗甲冑倚像 (宮城県指定文化財・瑞巌寺蔵)
政宗の十七回忌(1652年)に、次男忠宗(仙台藩2代藩主)が
京都の仏師に作らせたものです。
政宗27歳、朝鮮出兵の折りの姿を表したもので、
政宗の遺言により両眼が備わった姿で制作されています。
こちらは瑞巌寺門外不出の至宝で、今回の展覧会で初めて寺の外に出されました。
普段は後ろ側から見ることはできないのですが、
今回の伊達博物館における展示では、後ろ側も見ることができ、
鎧の後ろの組紐なども非常に丁寧に仕上げられていることがわかります。
展覧会終了後、初めてのX線調査が行われる予定で新発見が期待されます。

第二展示室:瑞巌寺の至宝 ~絵画を中心に~
●障壁画(室中孔雀の間)(重要文化財・瑞巌寺蔵)
瑞巌寺本堂「室中 孔雀の間」の障壁画のうち6面が展示されています。
「秋」を表した図で孔雀と菊が描かれています。
画材の剥落が著しいのですが、雄大な筆遣いから桃山文化の粋を感じます。

●仙台伊達家歴代藩主肖像画(松島町指定文化財・瑞巌寺蔵)
初代藩主政宗から11代までの歴代藩主の肖像画です。
これらの肖像画は藩主の命日に瑞巌寺本堂に掲げられ法要が営まれていました。
一人ひとり顔立ちも異なり、それぞれの藩主の個性が表されています。

第三展示室:政宗と秀宗を結ぶモノ ~父政宗から伝わる教養と文化を中心に~
●萩に鹿図屏風(重要美術品・仙台市博物館蔵)
4曲1双の屏風の片方には萩野原に佇む鹿が描かれ、
もう一方には川と萩の野原が描かれています。
描かれている川は仙台を流れる広瀬川で、萩は仙台に多く咲いている花であり、
こちらは宮城野の秋を描いた屏風となります。
この屏風は政宗の隠居所・若林城に所蔵されていたものと伝わり、
屏風には一面に政宗が和歌を記しています。
政宗の筆跡は墨継ぎの跡がはっきりと現れているのが特色で、
戦国武将らしい闊達な筆跡といわれています。

このほか宇和島伊達文化保存会に所蔵されている
政宗が秀宗に宛てた書状の数々も展示され
父として息子を気遣う政宗の姿を垣間見ることができます。

今回の展覧会は規模はそれほど大きいものではありませんが、
数々の貴重な資料を見ることができたこと、
これまで自分が知らなかった伊達政宗の一面を知ることができたことなど
大変興味深い展覧会でした。
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