平山郁夫展―文化財赤十字への道―
平山郁夫展―文化財赤十字への道― 4月8日~6月1日 広島県立美術館
5月初めに広島へ行ったときに見てきました。
広島県瀬戸田町(現:尾道市)出身である平山郁夫の没後初となる広島での回顧展です。
展覧会では主に広島県立美術館と平山郁夫シルクロード美術館所蔵の作品が出展されています。
第1章 原風景
1940年代から50年代にかけて描かれた初期の作品群です。
故郷である瀬戸内の風景やそこに生きる人々などが量感豊かな筆致で描かれています。
私は初期の平山作品を見るのは初めてだったのですが、
60年代以降の作品とは題材も絵のタッチもかなり異なる印象を受けます。
第2章 仏教伝来
平山は1960年代以降仏教伝来をテーマとした作品を描き始めます。
筆致もそれまでの明瞭な輪郭を持ったものから薄靄に煙るようなものに変化し、幻想的な様相を見せるようになります。
一般的に「平山郁夫」と言われてイメージする作品が描かれるようになるのがこのころからです。
第3章 シルクロード
1970年代から平山は自分の足で仏教伝来の道、いわゆるシルクロードの取材を始めます。
平山の足跡はパミール高原、フンザ渓谷、ガンダーラ、楼蘭、敦煌、雲崗などいわゆる「西域」から
ペルセポリス(波斯黄堂旧址)、パルミラといったシルクロードの西方、
さらにクレタ島、アッシジなど地中海世界を経て、最終的にはシルクロードの終着駅と称される奈良に至ります。
「仏教伝来の道」を超えて広く人類の歴史をたどる道を旅した様子がしのばれます。
第4章 文化財保護活動
1980年代以降、アフガン紛争、イラン・イラク戦争、湾岸戦争などシルクロードをめぐる国々で紛争が相次ぎ、
それにより破壊されたり、本国から流出した文化財は多数に上ります。
平山は貴重な文化遺産を後世へ守り伝えるため「文化財赤十字」構想を提唱し、様々な活動を行っています。
ここでは文化財保護の過程で収集された文物や壁画や遺跡の模写が展示されています。
第5章 日本の美、平和への祈り
主に1990年代以降の作品で構成されています。
晩年平山は日本の美しい風景や身近な草花を多く描きました。
この章で展示されている《広島生変図》は平山が原爆を主題とした唯一の作品で、
渦巻く紅蓮の炎の中、宙に坐する不動明王が描かれています。
人々の姿など直接原爆の惨禍が描かれていないにもかかわらず
不動明王の姿によって戦争に対する怒りと平和への祈りが表されていると思います。
《祈りの行進 聖地ルルド・フランス》は最晩年の作品で、
人々の祈りの姿の普遍性が表現されています。
5月初めに広島へ行ったときに見てきました。
広島県瀬戸田町(現:尾道市)出身である平山郁夫の没後初となる広島での回顧展です。
展覧会では主に広島県立美術館と平山郁夫シルクロード美術館所蔵の作品が出展されています。
第1章 原風景
1940年代から50年代にかけて描かれた初期の作品群です。
故郷である瀬戸内の風景やそこに生きる人々などが量感豊かな筆致で描かれています。
私は初期の平山作品を見るのは初めてだったのですが、
60年代以降の作品とは題材も絵のタッチもかなり異なる印象を受けます。
第2章 仏教伝来
平山は1960年代以降仏教伝来をテーマとした作品を描き始めます。
筆致もそれまでの明瞭な輪郭を持ったものから薄靄に煙るようなものに変化し、幻想的な様相を見せるようになります。
一般的に「平山郁夫」と言われてイメージする作品が描かれるようになるのがこのころからです。
第3章 シルクロード
1970年代から平山は自分の足で仏教伝来の道、いわゆるシルクロードの取材を始めます。
平山の足跡はパミール高原、フンザ渓谷、ガンダーラ、楼蘭、敦煌、雲崗などいわゆる「西域」から
ペルセポリス(波斯黄堂旧址)、パルミラといったシルクロードの西方、
さらにクレタ島、アッシジなど地中海世界を経て、最終的にはシルクロードの終着駅と称される奈良に至ります。
「仏教伝来の道」を超えて広く人類の歴史をたどる道を旅した様子がしのばれます。
第4章 文化財保護活動
1980年代以降、アフガン紛争、イラン・イラク戦争、湾岸戦争などシルクロードをめぐる国々で紛争が相次ぎ、
それにより破壊されたり、本国から流出した文化財は多数に上ります。
平山は貴重な文化遺産を後世へ守り伝えるため「文化財赤十字」構想を提唱し、様々な活動を行っています。
ここでは文化財保護の過程で収集された文物や壁画や遺跡の模写が展示されています。
第5章 日本の美、平和への祈り
主に1990年代以降の作品で構成されています。
晩年平山は日本の美しい風景や身近な草花を多く描きました。
この章で展示されている《広島生変図》は平山が原爆を主題とした唯一の作品で、
渦巻く紅蓮の炎の中、宙に坐する不動明王が描かれています。
人々の姿など直接原爆の惨禍が描かれていないにもかかわらず
不動明王の姿によって戦争に対する怒りと平和への祈りが表されていると思います。
《祈りの行進 聖地ルルド・フランス》は最晩年の作品で、
人々の祈りの姿の普遍性が表現されています。
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