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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

女優の肖像vol.2―エレン・テリー


16歳のエレン・テリー


上の写真は19世紀英国の写真家ジュリア・マーガレット・キャメロン撮影のものです。
キャメロンはラファエル前派風の舞台立ての女性の写真を数多く撮影しています。
この写真は画家ジョージ・フレデリック・ウォッツとの結婚前後に撮影されたものです。

エレン・テリーについては以前HPで取り上げていますので、詳しくはそちらをご参照ください。
『花選び』(音楽が流れます。音量にご注意ください。)
この『花選び』の原題“Choosing”の直訳に近いのは『選択』という題名なのですが、
以前『花選び』の題名で紹介している文献があり、この絵のイメージによく似合っているので、
私はあえて『花選び』の題名を使用しています。

『花選び』でエレンは椿と菫を手にしていますが、
華やかですが香りのしない椿は「女優」という職業の虚しさを象徴するといわれます。

『花選び』はロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーに展示されていますが、
これは作品そのものの評価ではなく、
モデルのエレンが後に英国を代表する女優となったことによります。

キャメロン撮影のエレンはまさに夢見るような風情の乙女といった趣で、
私はこの写真を見たとき、
こんな妖精のような人が実際にいたのかという思いにとらわれました。


オフィーリア

ウォッツとの1年足らずの結婚生活の間にエレンがモデルを務めた作品の一つです。
彼女はこの時まだ舞台でオフィーリア役を演じたことはなかったのですが、
ウォッツとの離婚後にオフィーリアを演じて大成功を納め、
大スターとなるきっかけとなります。



『ヘンリー8世』に出演しているエレンの姿です。
残念ながら何の役かは分からないのですが、
威厳ある姿が印象的です。

 

サージェント描く『マクベス夫人に扮するエレン・テリー』です。
堂々たる態度と狂気と凄みを感じさせる表情からは
かつての可憐な乙女の面影は全く感じさせません。
彼女が「女優」であることを何より証明する作品だと思います。
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