女優の肖像vol.4―ジャンヌ・サマリー

ルノワール ジャンヌ・サマリー 1877
ジャンヌ・サマリーはコメディー・フランセーズの専属女優で、
1870年代当時ルノワールのお気に入りのモデルの一人でした。
ルノワールのアトリエとジャンヌの実家はわずか200mの距離で、
ルノワールはジャンヌの家に足しげく通い10点もの作品を描きました。
上の作品はジャンヌをモデルにしたものの中で最も有名なもので、
ストロベリー・ブロンドの髪と薔薇色の頬、
ふくよかで生き生きとした彼女の魅力を最大限に描き出しています。
本で実際のジャンヌの写真を見たのですが、
夢見るような眼差しとふっくらとした頬がチャーミングな女性だったようです。

こちらはドレスアップした姿ではなく、普段着のジャンヌのようです。
ルノワールはコメディー・フランセーズの劇が好きではなく、
純粋にモデルとしてのジャンヌの魅力にひかれて
彼女を何度も描いたといわれています。

夜会服に身を包んだジャンヌの全身像です。
ジャンヌ・サマリーは当時の大スターで、
彼女が結婚したときには、新聞に大きく取り上げられるほどでした。
(相手は美男で富豪の息子でした)
そのような彼女の肖像を描くことは
ルノワールの名声を高めることに大きく寄与したとされています。
結婚後3人の子供に恵まれたジャンヌ・サマリーでしたが、
1890年に腸チフスのため33歳の若さで亡くなりました。
葬儀には2000人以上が参列したそうです。
ルノワール描くジャンヌ・サマリーは
まさに「幸福」を絵にしたような健やかな美しさに満ちています。
若くしてこの世を去ることになるジャンヌですが、
彼女の短くも幸せな人生がルノワールの画面に凝縮されているようです。
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