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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

月の中の女~ビアズリー『サロメ』vol.1


あの月を御覧なさい。あの月はいかにも変な様子をしています。墓穴の中から出てきた女のようだ。あれは死んだ女に似ている。あれは死人を探し求めてでもいるようだ。
ワイルド『サロメ』より


ワイルドの戯曲『サロメ』の冒頭の台詞の一節です。
若いシリア人の親衛隊長と王妃ヘロディアスの小姓が
宮廷のバルコニーから宵の月を眺めています。
彼らは月の中に不吉な女の姿を見出します。
月に映る女は踊る王女のような姿をしています。
彼らにはその女はまるで死んだ女のよう見えており、
この後起こる悲劇を予見させます。

ワイルドは最初ビアズリーの才能に共感していましたが、
二人の関係は次第に悪化していきました。
劇中では「踊る王女」の姿であるはずの「月の中の女」は
ビアズリーの絵ではワイルドを戯画化したものとなっています。

ビアズリーは戯曲を忠実に絵画化したのではなく、
独自のイメージによって毒に満ちたエロティックな『サロメ』を作り上げました。
世紀末的頽廃美の極みともいえる『サロメ』連作について取り上げてみたいと思います。
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