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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

Saint Sebastian vol.3


甘美な聖母子像で知られるペルジーノによる聖セバスティアヌス像です。

柱に縛り付けられ矢を射掛けられているにもかかわらず、
天を仰ぐ表情は実に穏やかで全く苦悶の様子が見られません。
説話的要素の一切が排された画面は礼拝のための図像とも考えられますが
非常に美しい作品であるにもかかわらず宗教的激情を感じ取ることは困難です。

中世において裸体表現はタブー視されていましたが、
ギリシア・ローマ時代の美の復興を目指したルネサンスにおいて
裸体の美しさを追求することが再び行われるようになりました。
青年裸体像を描くための格好の題材として選ばれたものの一つが聖セバスティアヌスです。

マンテーニャのセバスティアヌスは全身に矢を受けたまさに満身創痍の姿で描かれていましたが、
ペルジーノのセバスティアヌスはわずか2本の矢しか受けていません。
この矢は裸体の青年がセバスティアヌスであることを示すために描かれたものです。
聖人の殉教図というよりも理想化された美しい肉体を愛でるための作品という印象を受けます。



ペルジーノが描いたもう一つのセバスティアヌス像です。
首に刺さった銘文入りの矢は彼が殉教聖人であることの証ですが、
瑞々しい肉体美は異教の神を思わせます。



ペルジーノと同時代のシチリア出身の画家アントネッロ・ダ・メッシーナの作品です。
こちらも数本の矢を受けているにもかかわらず、表情は穏やかで痛み苦しみは全く感じ取れません。
建物や人物が細かく描きこまれていますが、それらは実に日常的な情景で、
矢を受けた聖人像と対比すると非常にシュールな印象を受けます。
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