クリーブランド美術館展
クリーブランド美術館展 名画でたどる日本の美 1月15日~2月23日 東京国立博物館 平成館
この展覧会はクリーブランド美術館において2013年6月新たに日本ギャラリーが開設されたことを記念して開催されたものです。
神・人・仏
仏画や肖像画など日本画における人体表現の変遷を追った展示となっています。
《二河白道図》鎌倉時代
極楽往生への過程を描いた図です。
幅15cmほどの白く細い道の左下方は炎の川、右下方は水の渦巻く川で、
ほんの少しでもそれてしまえば極楽往生はかなわなくなってしまいます。
人の心の危うさをこの図は的確に表していると思います。
《福富草紙絵巻》鎌倉時代
ユーモラスで動きのある表現が見ていて楽しくなりました。
《霊昭女図》春屋宗園 賛 室町時代
清貧の生活を送る若い女性の姿を描いています。
意志の強そうな眼差しが印象的です。
《雷神図屏風》「伊年」印 江戸時代
雷神図は琳派によって多数描かれていますが、
こちらの作品は著名なほかの画家の描いた作品と比較すると
野趣に満ちた感じがします。
雷神の表情は荒々しさと同時に愛嬌もあって、
恐ろしさよりも親しみやすさを私は感じます。
《大空武左衛門像》渡辺崋山 1827
写実的なタッチの等身大で描かれた肖像画です。
大空武左衛門は肥後出身の力士で、
身長227cm 体重131kgであったと伝えられています。
展示室には等身大のシルエットと手形が掲げられて、
実際の武左衛門の大きさが体感できるようになっていました。
《地獄大夫図》河鍋暁斎 明治時代
地獄大夫は室町時代の遊女で、山賊にかどわかされて遊女に売られました。
彼女は現世の苦しみは前世の報いとして自ら「地獄」を名乗り、
地獄絵図を描いた打掛を愛用したといわれています。
暁斎描く地獄大夫も極彩色の打掛を身に着けていますが、
彼女の打掛や帯には七福神が描かれ、
閻魔王こそいるもののその表情は恐ろしげではなく、
地獄の責め苦は一切描かれていません。
これは「地獄に仏あり」とも、「諸行無常」ともとることができ、
一つの作品を様々な視点から見る楽しみを与えてくれます。
花鳥風月
動物や植物を描いた作品群です。
《南瓜図》伝没倫紹等 賛 室町時代
ある意味この展覧会で最もインパクトのあった作品です。
南瓜に縄をかけて大勢で引く虫達(蟻かバッタ?)を描いています。
漫画的でユーモアあふれる表現は現代作品といっても頷けそうです。
《龍虎図屏風》雪村周継 室町時代
うねるような龍としなやかな虎の姿が躍動感ある作品です。
迫力よりも伸びやかさや虎の可愛らしさを感じます。
物語世界
日本美術において物語世界というのは重要なジャンルとなっています。
この展覧会では「伊勢物語」を描いた作品が展示されています。
《伊勢物語図色紙 住吉の浜》俵屋宗達 江戸時代
「伊勢物語」第68段「住吉の浜」の場面を描いています。
住吉を描く場合にはシンボルともいえる太鼓橋を描くのが通例ですが、
この作品には橋ではなく社殿が描かれています。
《燕子花図屏風》渡辺始興 江戸時代
有名な「東下り」(第9段)に登場する八橋を描いたものです。
橋や川の流れは一切描かず、金彩と燕子花のみで八橋を象徴的に表しています。
近代西洋の人と自然
特別出品としてモリゾ、モネ、ピカソ、ルソーの作品が展示されていました。
山水
名所や胸中の理想風景を描いた山水画の展示。
山水画は中国に起こり、日本に伝わります。
日本においても当初は中国の理想の山水を描いていましたが、
やがて日本独自の山水画を生み出すこととなります。
ここでは室町時代から江戸後期にかけての山水画とともに
中国で描かれた山水画も紹介されていました。
この展覧会は展示作品数はそれほど多くはなかったのですが、
どの作品も大変興味深い内容のものでじっくりと見ることができました。
これまで自分が知らなかった作品が多かったので、
新たな美の発見ができて楽しかったです。
この展覧会はクリーブランド美術館において2013年6月新たに日本ギャラリーが開設されたことを記念して開催されたものです。
神・人・仏
仏画や肖像画など日本画における人体表現の変遷を追った展示となっています。
《二河白道図》鎌倉時代
極楽往生への過程を描いた図です。
幅15cmほどの白く細い道の左下方は炎の川、右下方は水の渦巻く川で、
ほんの少しでもそれてしまえば極楽往生はかなわなくなってしまいます。
人の心の危うさをこの図は的確に表していると思います。
《福富草紙絵巻》鎌倉時代
ユーモラスで動きのある表現が見ていて楽しくなりました。
《霊昭女図》春屋宗園 賛 室町時代
清貧の生活を送る若い女性の姿を描いています。
意志の強そうな眼差しが印象的です。
《雷神図屏風》「伊年」印 江戸時代
雷神図は琳派によって多数描かれていますが、
こちらの作品は著名なほかの画家の描いた作品と比較すると
野趣に満ちた感じがします。
雷神の表情は荒々しさと同時に愛嬌もあって、
恐ろしさよりも親しみやすさを私は感じます。
《大空武左衛門像》渡辺崋山 1827
写実的なタッチの等身大で描かれた肖像画です。
大空武左衛門は肥後出身の力士で、
身長227cm 体重131kgであったと伝えられています。
展示室には等身大のシルエットと手形が掲げられて、
実際の武左衛門の大きさが体感できるようになっていました。
《地獄大夫図》河鍋暁斎 明治時代
地獄大夫は室町時代の遊女で、山賊にかどわかされて遊女に売られました。
彼女は現世の苦しみは前世の報いとして自ら「地獄」を名乗り、
地獄絵図を描いた打掛を愛用したといわれています。
暁斎描く地獄大夫も極彩色の打掛を身に着けていますが、
彼女の打掛や帯には七福神が描かれ、
閻魔王こそいるもののその表情は恐ろしげではなく、
地獄の責め苦は一切描かれていません。
これは「地獄に仏あり」とも、「諸行無常」ともとることができ、
一つの作品を様々な視点から見る楽しみを与えてくれます。
花鳥風月
動物や植物を描いた作品群です。
《南瓜図》伝没倫紹等 賛 室町時代
ある意味この展覧会で最もインパクトのあった作品です。
南瓜に縄をかけて大勢で引く虫達(蟻かバッタ?)を描いています。
漫画的でユーモアあふれる表現は現代作品といっても頷けそうです。
《龍虎図屏風》雪村周継 室町時代
うねるような龍としなやかな虎の姿が躍動感ある作品です。
迫力よりも伸びやかさや虎の可愛らしさを感じます。
物語世界
日本美術において物語世界というのは重要なジャンルとなっています。
この展覧会では「伊勢物語」を描いた作品が展示されています。
《伊勢物語図色紙 住吉の浜》俵屋宗達 江戸時代
「伊勢物語」第68段「住吉の浜」の場面を描いています。
住吉を描く場合にはシンボルともいえる太鼓橋を描くのが通例ですが、
この作品には橋ではなく社殿が描かれています。
《燕子花図屏風》渡辺始興 江戸時代
有名な「東下り」(第9段)に登場する八橋を描いたものです。
橋や川の流れは一切描かず、金彩と燕子花のみで八橋を象徴的に表しています。
近代西洋の人と自然
特別出品としてモリゾ、モネ、ピカソ、ルソーの作品が展示されていました。
山水
名所や胸中の理想風景を描いた山水画の展示。
山水画は中国に起こり、日本に伝わります。
日本においても当初は中国の理想の山水を描いていましたが、
やがて日本独自の山水画を生み出すこととなります。
ここでは室町時代から江戸後期にかけての山水画とともに
中国で描かれた山水画も紹介されていました。
この展覧会は展示作品数はそれほど多くはなかったのですが、
どの作品も大変興味深い内容のものでじっくりと見ることができました。
これまで自分が知らなかった作品が多かったので、
新たな美の発見ができて楽しかったです。
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