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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

スフィンクス Famme Fatale vol.2


モロー オイディプスとスフィンクス 1864


スフィンクスは古代エジプト起源で、
エジプトでは人間の頭と獅子の胴体を持つ霊獣でしたが、
ギリシアにおいては人間の女性の頭と獅子の胴体と翼を持つ怪物とされました。
スフィンクスは崖の上に棲み、崖下を通る人間に謎をかけては
それに答えられない者を食い殺してしまうということで怖れられていました。
誰も答えられなかった謎を解いたのは旅人オイディプスです。
スフィンクスはこのことに絶望し、崖から飛び降りて死んでしまいます。

モローの『オイディプスとスフィンクス』は彼の出世作となった作品です。
人生(旅)のさなかで謎(スフィンクス)と向き合う試練の時の緊張感が
向き合う二人の姿から感じられます。
モローのスフィンクスはあまりにも美しく蠱惑的で愛を挑む誘惑者のようにも見え、
オイディプスはそれに応えるべきか否か戸惑うようにも見えます。
モロー以前の画家が描いたオイディプスとスフィンクスの物語では
「本能(スフィンクス)に対する理性(オイディプス)の勝利」が描かれていましたが、
この作品では本能と理性のせめぎあいが画面から伝わってきます。

世紀末象徴主義者たちは謎かけをするスフィンクスを
男性にとって「永遠の謎」であり「他者」である「女性」の象徴としたのです。

シュトゥック スフィンクスの接吻 1895


官能的な肉体を持つスフィンクスの描かれたこの作品では
スフィンクス(女)こそが勝者であり、
謎を解こうとした男はスフィンクスから与えられる快楽に酔いしれるばかりです。
スフィンクスの爪は男の肌に深く食い込み痛みを与えていますが、
それすらもこの犠牲者にとっては悦びとなっています。
苦痛を与えられることによってもたらされる快楽という倒錯的な愛の形によって
エロス(愛)とタナトス(死)の究極的な姿がここに表されているようです。
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