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Windflowers

美術・猫・本など興味ある事柄や日々の徒然を綴るブログです。

フローラ vol.4―女神の肖像


ナティエ フローラに扮したマリー・アデライード 1742


ルイ15世時代の宮廷肖像画家として活躍したナティエの代表作です。
彼は上の作品のように宮廷の貴婦人を
ギリシア・ローマ神話の女神やニンフに見立てた
「神話的肖像画」を数多く描き、大いにもてはやされました。
ここでフローラに扮しているのはルイ15世の王女の一人です。
実際のマリー・アデライードは格別な美女ではなかったようですが、
この作品では実に優雅に美しく描かれています。

ルネサンス時代には「フローラ」は
高級娼婦を描くための口実としての一面がありましたが、
後にそれは薄れ、貴婦人や画家の妻・恋人を描くために
「花の女神」の姿が用いられるようになりました。


17世紀スペインの画家の作品で、
貴婦人をフローラに見立てたものとしては早い例です。
花に囲まれた宮廷の礼装をした貴婦人が従者に花を捧げられています。


レンブラントが妻サスキアをフローラとして描いた作品です。
新婚間もない頃に描かれたもので、
彼女のポーズには子宝に恵まれることを願う意味がこめられています。


こちらもレンブラントの作品ですが、
上の少女のような面持ちのフローラに対し、
堂々たる貫禄を見せる姿はまさに豊饒の女神にふさわしいものです。

マリー・アントワネットの肖像画家として名高いヴィジェ=ルブランの作品です。
古典的な衣裳を身につけ、花かごを頭上に掲げる乙女の姿は非常に優雅です。



18世紀ヴェネツィアの女性画家カリエラの『フローラ』です。
彼女はパステルによる肖像画を得意とし、これも女神に見立てた肖像画と思われます。
胸を露わにするポーズはルネサンス時代の「フローラ」を思わせますが、
妖精のように軽やかな雰囲気はロココならではといえるでしょう。

バロック・ロココ時代に数多く描かれた「見立て肖像画」は
19世紀に入ると廃れていきます。
「女神のような」貴婦人たちの時代にぴったりと沿ったのが「フローラの肖像」だったのでしょう。
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